肩こりとは

肩こりとは

 

肩こりは日本人に非常に多い愁訴の一つで、特に成人女性に多くみられます。国民生活基礎調査(厚生労働省, 2019)でも、**有訴者率の上位に「肩こり」**が挙げられています。

肩こりは医学的には「頸肩腕症候群」や「僧帽筋など肩周囲筋群の筋緊張に伴う不快感」として捉えられ、明確な疾患名というより症状の総称と考えられています。


 

原因と関連要因(エビデンスベース)

 

1. 姿勢・作業環境

 

  • 長時間のデスクワークや不良姿勢が肩こりの発症・悪化に関連すると報告されています(Ariens et al., 2001, Occup Environ Med)。

  • 特に**頸部前傾姿勢(ストレートネック)**やスマホの多用は僧帽筋の筋活動を高め、慢性的な筋緊張を引き起こすことが知られています。

 

2. 筋疲労と血流障害

 

  • 筋電図研究では、肩こりのある人では**僧帽筋の持続的な低レベル筋活動(low-level sustained muscle activity)**が認められ、局所の血流低下や代謝産物の蓄積が痛み・こり感に寄与すると示されています(Visser et al., 2003, Pain)。

 

3. 心理社会的要因

 

  • 肩こりはストレス、睡眠障害、抑うつ傾向と関連が強いことが報告されています(Häggman-Henrikson et al., 2020, J Pain Res)。

  • そのため「筋肉の問題」だけでなく、「心身相関」の要素を含むことがわかっています。

 

4. 性差・生活習慣

 

  • 女性の方が肩こりを訴える頻度が高いことが多く、ホルモンや筋力差が影響している可能性が指摘されています。

  • また、運動不足や低身体活動は肩こりリスクを高めることが示されています。

 


 

有効とされる対策(科学的根拠)

 

1. 運動療法

 

  • 肩・頸部のストレッチ、肩甲骨周囲筋の筋力トレーニングは有効とされる(Andersen et al., 2008, Arthritis Rheum)。

  • 特にエクササイズ介入は肩こりの痛み軽減に有効であることがシステマティックレビューで報告されています(Sihawong et al., 2011, Clin Rehabil)。

 

2. マッサージ・徒手療法

 

  • Cochraneレビュー(2015)では、マッサージは一時的な症状緩和に有効とされています。ただし効果は持続しにくく、運動療法との併用が望ましいとされています。

 

3. 鍼灸

 

  • WHOも肩こりに対して鍼治療を適応例の一つと認めています。

  • システマティックレビューでは、鍼は肩こりや頸部痛に有効である可能性が高いとされています(Trinh et al., 2016, Cochrane Database)。

 

4. 生活習慣改善

 

  • 姿勢の工夫(モニターの高さ調整、休憩、ストレッチ)

  • 適度な有酸素運動(血流改善効果)

  • 睡眠の質改善やストレスマネジメント

 


 

まとめ

 

肩こりは単なる筋肉の問題だけではなく、姿勢・筋疲労・血流・心理社会的要因が複合的に関与する症状です。

エビデンス的に有効とされるのは、

  • 運動療法(ストレッチ・筋トレ)

  • 徒手療法(マッサージ・整体)

  • 鍼灸

  • 生活習慣改善

    の組み合わせです。

 

一時的な対処ではなく、**「筋肉を動かすこと」や「生活の中での習慣改善」**が再発予防の鍵になります。

つかもと本通整体院・鍼灸院・接骨院