東洋医学講座#2 【心】

こんにちは、つかもと本通整体院・鍼灸院 院長の酒井です。

今回は、東洋医学における「心(しん)」という臓についてお話ししたいと思います。

普段「心」という言葉を聞くと、「気持ち」や「感情」といった精神的な意味合いを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。東洋医学でも「心」は精神活動に深く関わる臓ですが、実はそれだけではありません。


 

心は“神”を宿す臓

 

東洋医学において「心」は、“神(しん)”という精神や意識のはたらきをつかさどる臓とされています。この“神”は、現代でいう思考・感情・意識・睡眠などの中枢的な機能を指します。つまり、私たちの「考える力」や「感情の安定」、「眠れるかどうか」といった点にも、心の健康が深く関わっているのです。

よく「最近イライラしやすい」「眠れない」「気分が落ち込みがち」といった症状でお悩みの方がいらっしゃいますが、こういった精神的な不調は“心”の弱りや乱れが背景にあると東洋医学では考えます。


 

心は“血”を司る

 

さらに、心は「血(けつ)」を司る臓でもあります。

具体的には、心は血を全身に巡らせるポンプのような役割を持ち、現代医学でいうところの“心臓”のはたらきとも通じる部分があります。ただし東洋医学では、それに加えて血の中に神(しん)が宿るとも考えるため、血流が悪くなると、精神の安定が失われやすくなると捉えます。

実際、貧血気味の方や血流が悪い方は、動悸・息切れ・不安感・寝つきの悪さなど、心にまつわる症状を訴えることが多いです。これはまさに、心のはたらきと血の巡りが密接に関係していることの現れです。


 

心と「夏」の関係

 

東洋医学では、自然界の変化と臓器の関係も重視します。「心」は、五行説で「火」に属し、季節では「夏」と深い関わりがあります。

夏は陽の気が最も盛んになる季節で、心の活動も活発になります。しかし、陽気が過剰になると逆に心を消耗させてしまうこともあります。特に寝苦しい夜が続いたり、暑さで体力が落ちたりすると、動悸や不眠、情緒不安定などの症状が現れやすくなります。

そのため、夏の養生はとても重要です。冷たいものの摂りすぎに注意し、睡眠をしっかりとり、体を冷やしすぎないように心がけましょう。


 

心を整える東洋医学的アプローチ

 

心の不調を改善するためには、鍼灸や整体を通じて“心経”や“心包経”などの経絡を整えることが有効です。特に、不安感やイライラ、不眠にお悩みの方には、頭部や手首、胸部周囲のツボを使った施術が効果的です。

また、心にやさしい食材としては、赤い色の食べ物(トマト、クコの実、赤小豆など)がよく用いられます。これらは血を補い、心の働きを助けるとされています。

生活の中で、ストレスを溜めすぎないことや、好きなことに打ち込む時間をつくることも、心の“神”を健やかに保つためには大切です。


 

心のはたらきは、単なる精神面だけでなく、体全体の調和にも影響を及ぼします。ちょっとした心の乱れが、身体の痛みや不調に現れることもあるのです。

もし最近、気分が晴れない、寝つきが悪い、動悸や不安感がある…そんなお悩みがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

からだとこころ、両方を整えていくのが、東洋医学の強みです。

つかもと本通整体院・鍼灸院・接骨院