こんにちは、つかもと本通整体院・鍼灸院 院長の酒井です。
今回は、東洋医学における「肝(かん)」についてお話ししたいと思います。
「肝」と聞くと、西洋医学では肝臓をイメージされる方が多いと思いますが、東洋医学においては、単なる臓器としての「肝」ではなく、心身全体の働きに深く関わる重要な役割を担っています。
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東洋医学における「肝」とは?
東洋医学では、人体の働きを「五臓六腑」に分けて考えますが、その中で「肝」は主に以下のような役割を持っています。
1. 「疏泄(そせつ)」を司る
「疏泄」とは、体内の気や血の流れをスムーズに保つ働きです。
ストレスが溜まったり、気持ちが塞ぎこんだりすると「肝」の疏泄機能が低下し、気や血の流れが滞ってしまいます。これにより、頭痛、肩こり、胸のつかえ、胃の不調、生理不順など、さまざまな症状が現れます。
特に、現代人に多い「ストレス」は、肝にとって大敵です。
精神的な緊張や怒り、イライラなどの感情は「肝を傷める」とされており、自律神経の乱れを引き起こす大きな原因のひとつです。
2. 血を蔵し、調節する
肝は「血(けつ)」を蓄え、身体の必要な部分に送り出す役割があります。
これは、活動と休息のバランスに深く関係しています。日中、身体を動かす時には血を筋肉や脳に送り、夜には体内に血を戻して休ませる。このような調節が行われているのです。
とくに女性の場合、生理周期や妊娠、出産など血に関係する働きに「肝」が深く関わります。そのため、肝の不調は生理不順やPMS、月経痛などに直結しやすく、婦人科系のトラブルには「肝」のケアが重要になります。
3. 目・筋・爪と関係が深い
肝は「目に開竅(かいきょう)する」とされ、視力や目の疲れとも関係しています。また、筋(すじ)や爪とも深く関係しており、肝が弱ると筋肉がこわばったり、痙攣が起きやすくなったり、爪がもろくなったりします。
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肝の不調による代表的な症状
肝のバランスが崩れると、以下のような症状が出ることがあります。
• 頭痛・めまい・目の疲れ
• 怒りっぽくなる、イライラする
• 生理痛・生理不順・PMS
• 肩こり・背中の張り
• 眠りが浅い、夢をよく見る
• 胃の不快感や食欲不振
• 爪が割れやすい・白く濁る
• 顔色が青白くなる
これらの症状が複数重なっている場合、東洋医学的には「肝の気血の滞り」や「肝血虚(けっきょ)」などが疑われます。
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肝を元気にするためにできること
肝の調子を整えるには、何よりも「気の巡り」をよくすることが大切です。
日々の生活の中で意識していただきたいことをご紹介します。
1. 感情のコントロール
怒りやイライラは肝を傷める原因になります。深呼吸や軽い運動、趣味の時間を持つことで心の緊張をほぐし、ストレスをため込まない工夫をしましょう。
2. 睡眠と休息
肝は夜間に血を蓄えて修復する臓器です。遅くとも23時までには就寝するのが理想的です。夜更かしは肝を消耗させ、疲労や不調の原因になります。
3. 食生活の見直し
肝の働きを助けるとされる食材には、「青い野菜」や「酸味のある食材」があります。春菊、ほうれん草、小松菜、レモン、梅干し、しそなどを食卓に取り入れてみてください。
4. 鍼灸や整体で気血の巡りを整える
肝の疏泄を助け、気血の巡りを整えるには、鍼灸治療や整体がとても有効です。
特に東洋医学では、肝の経絡(ツボの流れ)に沿って施術を行うことで、身体と心のバランスをととのえましょう。
お電話ありがとうございます、
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